リーマンを超える危機が来る。日本はどうするべきか。『危機の時代』


危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』の著者、ジム・ロジャーズ氏は、2008年のリーマン・ショックの到来や、2020年に未曾有の経済危機が起きることを予言していた、伝説の投資家です。彼の投資スタイルは、購入した株式を長期的に持ち続けるウォーレン・バフェット氏等がメインでとる戦略とは異なり、状況によりポジションを変える戦略です。

直近2020年2月から3月にかけておきた株価大暴落は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるものと思われていますが、実際はウイルスはきっかけに過ぎず、もともと存在していた危機が明らかになったためだと筆者はいいます。

本書では、過去の歴史を振り返り、未来予測を行っています。危機の時代を生き抜くためのヒントに満ちた本書より、次の5つのポイントでご紹介します。

  • リーマンを超える危機が来る
  • 過去の危機では何が起きたのか
  • 次の覇権国は中国
  • 日本はどうするべきか
  • これから学ぶべきこと

リーマンを超える危機が来る

2020年に高い確率で経済危機が起きることは、2019年の世界の様子から予測が出来ていました。

インド、トルコといった国々では財政状況が悪化して銀行の倒産等が相次いでいました。そのニュースは、それぞれの国の中ではトップニュースになっていましたが、日本のニュースで報道されることがなかったため、多くの日本人はその状況を知りませんでした。(参考:2020年9月トルコ格下げ2021年8月インド財政赤字補填のため、インフラ資産売却(Bloombergより))

そんな中、新型コロナウイルス感染症により世界経済が混乱し、企業の倒産や、それに伴う失業者の増加が急速に進みました。

この状況で、ドナルド・トランプ元大統領が行った、米国とヨーロッパとの間の行き来を制限した対策(参考:BBCニュース)は最悪であったと、ロジャーズ氏は言います。この移動制限が景気の悪化に拍車をかけたため、企業の経営破綻が世界に広がっていったと考えています。

この不況を乗り越えるために紙幣をどんどん刷って巨額の財政支援を行っていますが、いずれまとめてそのツケを支払うことになることは、間違いありません。(つまり、ロジャーズ氏は、MMT理論に反対の立場です。MMT理論については、こちらをご参照ください。本は『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 (ワニの本)』)

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Photo by Anna Tarazevich on Pexels.com

過去の危機では何が起きたのか

過去の歴史を見ると、世界の歴史が大きく悪化した時、それが引き金になって大きな戦争へとつながることが多くありました。今世界中で、戦争の火元になる可能性が最も高いのは、石油資源やイスラエルの問題を抱える中東です。

第一次世界大戦がサラエボという小さな町から始まったように、中東のどこかの小さな町で戦争が始まる可能性は十分に考えられます。

次の覇権国は中国

ロジャーズ氏は、米国の次の覇権国は中国であり、それ以外に可能性のある国は一つもないと言います。

インドには大きなポテンシャルがありましたが、経済が悪化した際に政府が介入し、市場原理が崩れたことから発展が大きく妨げられました。

今、テクノロジーの中心地はシリコンバレーであると私たちは思っていますが、現時点で圧倒的にその先を行っているのが、中国の深圳です。中国のエンジニアは、アメリカのエンジニアの数をはるかに上回っており、それに比例して優秀なエンジニアの数も多いため、将来のイノベーションが中国から数多く生まれることは間違いありません。

なぜこれを知らない日本人が多いのかというと、日本などの西側諸国が見ているニュースはかなり偏っているからです。アメリカやヨーロッパ等の西側諸国では、中国の独裁的な体制や人権の弾圧など、悪い面ばかりを強調して報道していますが、それは一方的な見方にすぎません。中国やロシアなどの異なる主張をしているメディアを合わせてみる必要があります。それによって、はじめて公平に物事を捉えることが出来るようになります。

HUAWEIはセキュリティ上のリスクがあると、私たちは聞かされていますが、アフリカの、例えばコンゴなどの国ではそのように思っている人はいません。10年後には世界中の携帯端末のシェアをHUAWEIが握っている可能性も十分にあります。

私たちは、アメリカや日本の経済発展は民主主義のお陰だと考えていますが、実際には、民主主義であることと経済発展には明確なつながりはありません。民主主義でも、ポルトガルやスペインのように経済成長が止まっている国はあります。反対に、一党独裁であるシンガポールのように目覚ましい経済成長をしている国もあります。むしろ、一党独裁の方がスムーズに政策を実行に移すことが出来るので、資本主義経済を採用している中国は、他の国を圧倒するスピードで経済成長を進めることが出来るベースがあります。(注:中国は、厳密には一党独裁制ではなくヘゲモニー政党制

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日本はどうするべきか

ロジャーズ氏は、日本の将来についてはかなり悲観的な見方をしています。

高度経済成長のバブルが崩壊し、多くの企業が倒産しそうになった時、日本の政府はそれを救おうとして資金をつぎ込み、本来であれば淘汰されるべき企業が消えずに生き残っています。(参考:増殖する「ゾンビ企業」 SDGs時代の対応策とは(2021年10月Globisより))

これは経済活動にとっては大きなマイナスで、そのために取り返しのつかないダメージを追い、その後30年にわたって停滞することになりました。(「失われた30年」)

またオリンピックは、過去の歴史を見ると開催国に大きな負担がかかるイベントで、ギリシャやブラジルは、そのために巨額の負債を抱えることになりました。

増え続ける借金や少子高齢化(参考:高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書 – 内閣府)など、日本には問題が山積みですが、それらが改善される兆しは見えません。これを解決する唯一の手段は、移民を受け入れることです。過去繁栄した国家は、例外なく移民を積極的に受け入れています。

アメリカの繁栄も、そのベースには移民の受け入れによる多様性がありました。 ドナルド・トランプ元大統領によって、移民規制に舵が切られようとしていましたが、ジョー・バイデン大統領は、またそれを元に戻す動きをしています。(参考):トランプ政権の移民規制、バイデン氏が就任初日に撤廃に着手 | Reuters

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これから学ぶべきこと

今後、教育は大きく変わります。

欧米の大学には、生涯にわたって大学に在籍する権利を持つ教授がのさばっているため腐敗していると言います。彼らが高い年収を受け取っているため、大学の学費は高くなり、その割に授業の質は下がっています。

これからオンライン授業が一般的になることで、多くの人に授業を行うことが出来るので、最先端の内容を分かりやすく教えてくれる教師に人気が集まるようになります。受講生たちは、自分が学びたい内容を自由に選択でき、質の高い授業を聞くことが出来るようになります。

これから学ぶ内容を選ぶ時、MBAだけは絶対に避けるべきです。既に供給過剰で、実際に役に立つ場面は少なく、高い授業料を支払い、時間をかけて学ぶだけの価値はありません。

代わりに学ぶべきものは、言語であれば中国語、英語。これから有効な知識は、バランスシートと、ブロックチェーンと、マリファナ。学問としては、歴史、哲学、数学が欠かせない教養です。

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今の時代は変化の激しい時代ですが、危険だけでなく、大きなチャンスも転がっています。過剰に不安になる必要はありませんが、先を見据え、準備できることを準備しておきましょう。私たちが今出来ることは、たくさんあります。

本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』 をご参照ください。

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Maya ☆

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