「想定外」の出来事について。『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質』

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ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質』は、その原書が2007年4月に発刊され、「サブプライムローン危機」が発生した際には、「誰一人予想もしなかったインパクトのある事象」が起こる原因を原理的に明らかにした書として、全米で150万部超の大ヒットを記録しました。

本書を、次の7つのポイントでご紹介します。

  • ブラックスワンとは
  • 七面鳥に学ぶこと
  • 講釈の誤りとは
  • 人は説明を後付けする
  • 拡張可能性の誕生
  • 月並みの国と果ての国
  • バーベル戦略

ブラックスワンとは

本書で言われている「ブラックスワン(黒い白鳥)」は、通常ではありえない、とんでもない外れ値をいい、次の3つの特徴があります。

  1. 予測できないこと
  2. 非常に強いインパクトをもたらすこと
  3. 一旦起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初から分かっていたような気にさせられたりすること

例えば、9.11、3.11、Googleの驚くべき成功、新型コロナウイルス等が、この「ブラックスワン」に該当します。

七面鳥に学ぶこと

下図は、七面鳥の心理を表したものです。

生まれてからずっと、「人間は優しい、毎日餌をくれるし、家もくれる」と思い、人間に対する好感度が、日が経つにつれ右肩上がりに上がっていきます。ところがThanksgiving Day(感謝祭)に突然殺されてしまいます。

七面鳥にとっては「まさか!」の事態です。過去のデータではその兆しは一切なかったからです。 Thanksgiving Day(感謝祭) の前日までは、 Thanksgiving Day(感謝祭) 当日に起こることの証拠は全くありませんでした。

この例が示すことは、人間は過去の実績に基づいて予測をする癖があるので、それによって失敗するということです。ブラックスワンの出来事は、過去の実績に基づくとありえないことなので、全く予知出来ません。

『人は過去に「Aがある証拠がない」というだけで、「ない」と決めつけてしまう』

しかし、「Aがある証拠がない」≠「Aはない」です。

food love dinner eating
Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels.com

講釈の誤りとは

人は、講釈(ストーリー)の付いたブラックスワンは過大評価するのに対し、講釈(ストーリー)のつかないブラックスワンは過小評価する傾向にあります。

言い換えると、ほとんど起こらなさそうではあるが、何か説明がついたら起こりそうな気がしてくるということ、そしてほとんど起こらなさそうであり、何も説明がつかなかったら起こらないだろうと思うということです。

過大評価の例に、アメリカの「テロ保険」があります。通常の保険より料率が高いそうですが、ストーリーづけされているため、また起こるかもしれないと思い、過大評価しているようです。(テロは、FACTFULNESSでも記載しましたが、起こる可能性は非常に低いです。)

人は説明を後付けする

例えば、大成功した投資家Aがいるとします。その投資家Aが、「〇で△で■で成功しました」といったとします。

その時、同じように「〇で△で■」をしたのに失敗した人たちもいます。しかし、成功者の声の方が大きいため、その失敗した人たちの声が表に出ることはありません。これを、生存者バイアスと言います。そして成功者と失敗者の差は「運」だったりします。

また、その投資家Aの話を聞いた人は、「〇で△で■」をしたから成功したのだなと思います。ただの「運」なのですが、人は因果関係をつけたがるのです。

つまり、人間は必要以上に「現実は説明可能だ」と考え、世界を楽観的に見る傾向にあります。そうなると、強いランダム性や説明不可能な突然の出来事(ブラックスワン)に、思考をめぐらすことが出来なくなってしまいます。

「説明が出来ないことがあるということ」を認める姿勢が必要だと思います。

crop unrecognizable man talking to female psychologist
Photo by Alex Green on Pexels.com

拡張可能性の誕生

例えば、昔は歌や演劇も、目の前の観客だけにしか見せることが出来なかったのですが、データとしてダウンロードが出来たり、インターネットが発達することによって拡張可能性が出てきました。

一人が歌を歌う手間は同じなのですが、昔は目の前の100人にしか届けられなかったのですが、今は何万人、何億人に同時に配信することも可能になりました。

月並みの国と果ての国

例えば、作家をランダムに1000人選んだ時、それらの全作家の売上が数百万部だったとします。そこに、J・K・ローリンズさん(ハリー・ポッターシリーズの作者)をいれると、平均部数はどのようになるでしょうか。 J・K・ローリンズさん一人だけで5億部売り上げていますので、平均値は一気に吊り上がります。

一方、例えば男性を1000人ランダムに選んだ時、その平均体重が70㎏だったします。そこに、歴史上最も重かった男性、635㎏をいれると、平均体重はどのようになるでしょか。70.5㎏にしかなりません。確かに、635㎏の男性は70㎏の方と比べると異常値ではあるものの、平均にすると大きな衝撃にはなりません。

この両者の違いが、月並みの国と果ての国の差であり、下図はその両者の特徴を表にしたものです。

先ほどの例でいうと、作家の売上部数は「果ての国」の話、体重は「月並みの国」の話です。

月並みの国では、多少の違いはあれど、「どんぐりの背比べ」のような、皆平均値に近い世界です。物理的なものがこれに当てはまります。例えば、身長、体重等。グラフにすると、平均に分布が集中する、ベルカーブを描きます。統計学は、「月並みの国」で有効な方法です。

これに対して果ての国では、大きな格差が生じます。人間の生み出した社会的なもの、非物理的なものは、果ての国に当てはまるものが多いです。例えば、資産残高、影響力等。

月並みの国では、データが増えるほど予測が正確になりますが、果ての国では、データが増えても予測は少ししか正確になりません。グラフにすると、以下のようになります。1つの出来事がとても大きな影響を与える「果ての国」に、ブラックスワンはいます。

現代では、多くのものが密接につながり合っているので、「果ての国」の領域は広がっています。だから、世界中で「想定外」の出来事が頻繁に起こっているのです。

バーベル戦略

著者は、ブラックスワンに対応するため、バーベル戦略をとっているそうです。

バーベル戦略とは、超積極的投資と、超保守的投資を組み合わせた投資です。お金の85%から90%を、アメリカの短期国債などの超安全資産に投資し、残りの10%から15%は、仮想通貨のような超投機的な賭けに投資します。

このようにすれば、例えブラックスワンが来ても安全資産は守れますし、破滅的な目には合わないと考えます。

ビジネスに応用する場合、収益性の高い既存の事業を予想外の打撃で潰されないように徹底的に守り抜きながら、勝率は少なくても大化けする見込みがある新規事業にも積極的に手を伸ばしていくということです。

grayscale photo of black adjustable dumbbell
Photo by Victor Freitas on Pexels.com

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本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質』 をご参照ください。

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