『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』の著者渡部 清二氏は、これまで20年以上、80冊以上の四季報を読破されてきた方です。
本書には、著者がその経験の中から見つけた10倍株、100倍株を見つけるノウハウが書かれています。本書を、次の5つのポイントでご紹介します。
- 四季報が最強である理由
- 重要なのは時価総額
- 最高益更新銘柄に注目
- 10倍株・100倍株探しの4つのポイント
- 4つのポイントでスクリーニングした結果
四季報が最強である理由
著者が四季報が最強だと考えているのは、以下の3つの理由からです。
1.網羅性
四季報は、日本の上場銘柄全てを網羅している唯一の本だから。
2.継続性
四季報は、1936年に発行されてから、これまで戦中戦後の一時期を除いて、80年以上現在まで続いているものだから。
3.先見性
四季報は、上場企業に四半期毎に決算開示を求める制度がない80年以上前から、年4回発行されていたから。なお、四半期報告制度が導入されたのは、2008 年4月1日以後開始事業年度から。
重要なのは時価総額
自分が投資しようと思っている株が、本当に10倍になる可能性があるかを判断するための基準の一つとして、時価総額を使ってみましょう。
時価総額に注目する理由は、それが会社の市場評価だからです。株価が上がれば、時価総額も上がります。
時価総額 = 株価 × 発行済株式数
自分が投資しようと思っている株価が10倍になる可能性があるかを考える指標の一つとして、他の会社の時価総額と比べてみると良いです。
例えばNTT(9432)の現在の時価総額は約11兆円です。これが10倍になると考えるということは、時価総額が110兆円になると考えているということです。
ここで時価総額世界ランキングを見ると、下表のとおり、おおよそテスラに並ぶということになります。つまりNTTの株が10倍になると、テスラに並び、アップル、マイクロソフト、アマゾン、Google等世界企業の仲間入りをするということになります。
このように考えると、その会社が10倍になる可能性があるかどうかを具体的にイメージしやすいと思います。
また時価総額は、理論的には、その会社が将来にわたって生み続ける利益を現在価値に割り引いたものとされています。簡単に言うと、事業の持つポテンシャル、ベストシナリオの市場規模が、時価総額を決めるという考え方も出来ます。
最高益更新銘柄に注目
四季報の「指標等」欄にある最高純益には、過去最高の純利益額と、それを記録した決算期が記載されています。
一度ここを乗り越えると、その後も最高記録を更新し続けることが良くあり、それに伴い、株価も最高値を更新することが良く見られます。
最高純利益額を出した決算期と株価の高値をつけた時期を比較すると、その最高純利益額を出した時期を挟んで前後1年に、株価も高値を付けるケースが非常に多いということです。
つまり、今期過去最高純利益額を更新する企業は、当然ながら株価も過去最高値を更新する可能性が高いと考えることが出来るということです。
最高益を更新する銘柄には、次の3つのタイプがあります。
1.安定的かつ着実に利益を積み上げ、長年にわたり毎年最高益を更新するタイプ
業績が安定しているため、株価は長期的に安定的に右肩上がりを続けます。
その都度業績が株価に織り込まれて織り込み済みとなるため、短期的に派手に上昇することがあまりないタイプです。
2.5年~10年の景気サイクルの循環に合わせ、前回ピーク利益を更新するタイプ
株式市場全体の地合いが良い場合、株価はそのまま上昇していき、限界なくいくところまで行く可能性があります。
しかし業績に陰りが見えれば、一気に暴落する可能性があるので注意が必要です。
なお、今期に最高益更新が予想されているにもかかわらず、株価が最高値を更新していない銘柄があり、その業績面で特に問題がなければ、株価は少なくとも前回最高値までの余力があると考えることが出来ます。このような株を見つけられたら、チャンスです。
3.長期間、最高益とは無縁だったが、様々な要因により何十年ぶりかに最高益を更新するタイプ
3つの中で最も珍しいタイプです。
これまでスランプに陥っていた企業が最高益を出した場合、気づかれないケースが多いです。四季報でコメントすらされないこともあります。
それゆえ株価も安値で放置されている可能性が高く、認知されるにしたがって株価は暴騰する可能性があります。
10倍株・100倍株探しの4つのポイント
1.成長性を示す増収率が高い
4年で売上高が倍になっている会社、年に20%以上の増収を継続している会社を探しましょう。
筆者が10倍株探しで最も重視しているのは、「急成長」だそうです。そして、売上高の伸びが年20%以上のものを成長していると判断します。著者は、売上高は全ての利益の源泉になるものであり、最も重要な指標であると考えます。
2.稼ぐ力を示す営業利益率が高い
売上高の増収率だけでなく、稼ぐ力を示す営業利益率にも着目します。
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
金融を除く全産業の平均的な営業利益率は、約7%ですので、一般的には10%以上あれば稼ぐ力のある優良企業と判断して良いということです。
3.オーナー経営者で筆頭株主であること
社長がオーナーである企業を探しましょう。
筆者の経験則で、株価が右肩上がりの企業には、創業者もしくは創業家出身の経営者が筆頭株主という共通点があるのだそうです。ソフトバンクグループの孫正義社長、ファーストリテイリングの柳井正社長等がこれにあたります。
オーナー経営者が筆頭株主である会社が10倍株になりやすい理由は、オーナー企業ではトップダウンで迅速に意思決定が行われ、素早く行動出来ることから、他社よりも先に市場を制することが出来るからだと考えられます。一方でワンマン経営になる可能性もあるので、注意です。
4.上場5年以内
筆者が、現在10倍株以上になった企業を調べた結果、10年前の段階で上場から5年未満が61%であったというデータに基づいています。
4つのポイントでスクリーニングした結果
バフェットコード(日米銘柄スクリーニング(条件検索) | バフェット・コード (buffett-code.com))を用いて日本株をスクリーニングした結果、1銘柄のみヒットしましたのでご紹介します。条件の1、4を両立する条件、かなり厳しいと思います。
<条件>
- 売上高の伸び、4年間連続20%以上
- 営業利益率10%以上
- オーナー経営者が筆頭株主
- 上場5年以内
ヒットした銘柄は、すららネット(3998)です。
財政状態、経営成績等から投資対象としての「株」としても大変良いですが、企業理念も素晴らしく、可能性を感じます。(企業理念 | 【公式】株式会社すららネット (surala.jp))
投資は自己責任でお願い致します。
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本書に興味を持っていただいた方、詳細は 『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』 をご参照ください。
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